遅ればせながら藤田真央さんの「指先から旅をする」を読んでいます。
非常に文章力が高く感心しました。
なんでも国語力を磨くために、高校の時に先生に勧められて本をたくさん読んでいるとのこと。言葉の蓄積があるからこその文章力だなと思いました。そして、元々の資質として、物事を秩序立てて捉えることができる人なのでしょう。
私が藤田真央さんを知ったのは2021年のヴェルビエフェスティヴァルのモーツァルトソナタ全曲コンサートをmedici.tv で聴いたのがきっかけですが、演奏が非常に構築的という印象でした。
その背景にあるものも、この本を読むことで知ることができました。しっかり楽譜と向き合って、自分なりの解釈を作り上げているとのこと。そして、ピアニストは作曲者の意図を再現するのが役割とも書いていました。
結局は楽譜と対峙することが作曲家の意図をより良く知るための手段なんだなと改めて感じました。
読書の積み重ねで言葉に繊細になり、いい文章が書けるようになります。それと同様に楽譜をしっかり見ることで音楽言語を貯蔵し演奏に生かす。また、作曲家の書いた音楽言語を読み込んで演奏に表す。
それを実現しているのが藤田真央さんだと思います。
私は手が小さいので非常にレパートリーが限られてますが、楽譜を読むことで音楽をもっと知る必要があると痛感しました。自分が絶対に演奏できないラフマニノフの曲であっても、楽譜を読んで自分なりの音楽を頭の中で想像することはできます。
フォルマシオン・ミュジカルの目指すところには楽譜を「本を紐解くように読む」というのがあります。そのためにも楽譜を読めるような教育が必要だとひしひしと感じています。
聴くことと読むことは音楽演奏の両輪みたいなもので、どちらかの能力が欠けていてもいい演奏はできないです。フォルマシオン・ミュジカルの教育にはその両方をバランス良く身につけさせようという精神があるなと感じています。