フランスでは1週間前から年明けの授業が始まっています。

私がコンセルヴァトワールで聴講している Commentaire d’écoute(聴取のコメントという聴いた事を書き取るもの)の授業も休み明けの授業がありました。この授業はプロの音楽家を目指す生徒を主たる対象としているもので、一般向けにも聴講生を募集しているものです。私はその聴講生の枠で受講しています。

先日の授業で聴いたのは、ルネサンスの世俗的なシャンソンでした。拍子がないこと、旋法の特徴が見られるなどバロックとは明らかに違うのですが、バロックのポリフォニーに通じるものがあるなと感じました。

歴史は全てつながっているもの、という思いを新たにしました。

 

我々が受けた音楽史の授業は時代順に先生が解説して、音楽を聴いてということが多かったはずです。音楽を聴くことで紙の上で学ぶ事実が並んでいるだけにはならないものの、音の歴史という感覚にはなりにくかったのではないでしょうか? 少なくとも私は音の歴史という感覚に欠けたまま、つい最近まで過ごしていました。

Commentaire d’écoute の授業は音楽史の授業ではありませんが、音楽史に結びついています。歴史的位置付けを見ることもこの課題では必要とされていることです。このコンセルヴァトワールでは同じ先生が Culture musicale(音楽文化。音楽史を含む内容)の授業を担当していて、音楽史そのものはそちらでやることになります。

ある時、この授業でバッハのカンタータにあるフランス風序曲を聴きました。最初はその合奏のリズムを聴いて序曲という気はしたのですが「もしかしてフランスバロック音楽?」と思いました。しかし歌詞はドイツ語だしもしかしてバッハ? と私の頭の中に思い浮かびました。フランス風序曲がフランス風と呼ばれる所以もこの時にすんなり理解できました。音楽は地域を超えて通じるものがあるといういい例ですね。

このように聴くことで、聴けることで学べる音楽史というものがあります。

フォルマシオン・ミュジカルの段階から、聴いたものから得られるものを答えることが行われています。聴いた曲の時代を考えて作曲者を提案しなさいと言われることもあります。提案ですから正解が出せないことはさほど問題にはなりません。まずは出された要素を捉えて考えることが大切です。上記のバッハのカンタータの時は、別のドイツバロック期の作曲家も学生たちから候補として名前が上がりました。

聴く習慣、聴いたものから得られるものを考える習慣をつけていくことで、音楽史の学びが広がるのは間違いないことです。

 

 

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