楽器演奏にソルフェージュは必要なのでしょうか? 楽器を習う時、多くの人が「楽器の弾き方」と「楽譜の読み方」を同時に学びます。「楽譜は楽器を弾きながら少しずつ読めるようになればいい」という考え方もありますし、それで問題なく上達する人もいます。


しかし、それならなぜソルフェージュという分野が存在するのでしょうか?楽器の練習と並行して、楽譜を読むトレーニングをする意義について今日は考えてみたいと思います。


国語の授業を思い出してください。教科書を読むだけでなく、漢字ドリルや文法の学習がありましたよね?それらを通じて、読解力や表現力が身についたというのは皆さんも感じられていると思います。

音楽も同じです。楽譜は「音楽の言葉」であり、ただ音符が読めるだけではなく、その意味を理解し、適切に表現することが大切です。

もちろん楽器のレッスンで楽譜を読む機会はありますが、それだけで楽譜がスラスラ読めるようにならなくても無理はありません。なぜなら読む量が足りないからです。むしろ、楽譜を読む力を独立して鍛えることで、楽器演奏がスムーズに進むのです。

ソルフェージュを学ぶことで得られる力は、大きく2つあります。それは理解力表現力です。

音楽を演奏するためには、楽譜に書かれている情報を正しく読み取ることが必要です。リズムや音程、和声の流れをスムーズに把握することで、より自然に演奏できます。これが理解力です。

例えば、初見で楽譜を読める力があると、新しい曲にすぐ取り組めますし、楽器の練習に集中できます(楽譜を読むことに時間を取られないので)。

また、音楽は単なる「音の並び」ではありません。楽譜の背後には、作曲家の意図や音楽の構造があります。それらを理解することで、演奏がより深く、豊かになるのです。

例えば、フレーズの終わりをカデンツの感覚を持つことで丁寧に演奏することができるようになります。また、音の動きの意味がわかると、演奏の表現がより自分自身のものとなります。


フランスのフォルマシオン・ミュジカルでは、音楽を単なる「音符を読む」訓練ではなく、言語として総合的に学ぶことを重視しています。

例えば、リズムや音程を「遊び」を通じて身につける、作曲家や音楽史を学び、音楽の意味を考える力を少しずつつけていくといったものです。このようなアプローチを取ることで、音楽を「読む力」と「表現する力」が自然と身についていくのです。


ソルフェージュを、それもフォルマシオン・ミュジカルのアプローチで学ぶとどんないいことがあるでしょうか?楽譜をスムーズに読めるようになり、フレーズやリズムを正しく感じられることで、音楽演奏力が上がります。さらに音楽を作っているもの、音楽が作られた背景を知ることで、表現がしっかりしてきます。

ソルフェージュは、「楽器の演奏とは別のもの」ではなく、音楽をより深く理解し、演奏を豊かにするための土台です。

レッスンの時間に限りがあるとは思いますが、ほんの少しでも取り入れていただきたいと思います。