数ある音楽作品の中に、変奏曲という分野があります。変奏というからには「テーマを変えている」ということは、音楽を少しでも勉強したことのある人なら当たり前にわかっていますよね。
しかし小学生の生徒さんに変奏曲と言ってすぐに意味がわかってもらえるでしょうか?
漢字に強い国語力のあるお子さんなら文字を見ればわかるはずですが耳で聞いただけでは「変装曲」と思ってしまうかもしれませんね。
変奏曲は英語もフランス語も Variations です。発音は違いますが同じ単語です。Variation の元々の意味は「1つの状態から別の状態に移行すること」、つまり変化させる動きを名詞にしたものです。
同じ語源の単語には Variety (バラエティー)がありますがこちらは「多様性」なのでニュアンスが違います。フランス語は少しスペルが違いますが似たような単語です。
つまり変奏曲は「変える」という作曲上での動きも表しているわけです。
そして日本語の変奏曲と違って、この Variation という単語は日常的に他の場面で使われる言葉です。変えると言っても元があってそれを変化させるものだというのが自然にわかるのが欧米語の利点です。
日本語の場合は「変」という漢字に注目です。「変化の変だから変えるんだよ」教え方は小学校高学年の生徒さんなら通じるかと思いますが、それより小さい生徒さんの場合は「お店屋さんに同じ花でも色違いがあるような感じ」と伝えられるかと思います。
変奏曲はテーマという基準があった上での旋律の変化、和声の変化、リズムの変化をさせたものですから、花の色の違い、人形に着せる服やつけるアクセサリーといった変化をつけるものと説明するのはわかりやすいですよね。男の子だったらロボットの装備の違いとか?!
ところでこの変奏曲ですが、短いものでは「全部で3分」という作品があります。20世紀前半の作曲家、ウェーベルン の交響曲の第2楽章で、演奏時間3分未満。それでもテーマと7つの変奏にコーダまでついてます。
ここまで来ると今までの変奏曲の常識では聴き取れないのですが、楽譜を見ながら聴いてみる(こちらに楽譜付きYouTube音源があります)と「リズムと音色の変化」で曲が作られているのがわかります。テーマとの関連は聴くだけではわかりにくいですが、十二音技法でできているということから、その音の並びは守られているわけで、そこに共通点はあるわけです。
モーツァルトの典型的な変奏曲とは大きく違いますが、これはこれでまとまった曲というのは感じられます。
そうです、最後に大切なこと。変奏曲は変化させるだけではなくて、最後にまとまりというか決着をつけて終わるものです。曲によっては最後に再度テーマがほぼそのまま出てくるものがありますよね。
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