指を高速に動かす「外骨格ロボット」で“自身の限界”を超えるピアノ練習法、ソニーCSLが発見
こんな記事を読みました。指が自分の思っている以上速く動くって考えようによっては素晴らしいことなのかもしれませんが、これでピアノが弾けるようになると思われるのは違うな、と思いました。
この記事にある、開発者のX投稿を読めば「これだけで問題解決するわけではない」という認識で作っていいないことがわかりますが、そこまで確認する人がどれだけいるのか?という懸念。そして「手を傷めずに上達させる」目的で作られたこともわかるのですが、使いすぎたら腱を傷めるのでは?という思いがどうしても出てきてしまいます。特に私は手が小さくて無理をかけるとすぐに手を傷めてしまうので。指が動かない原因にも色々あるし、一概にこれを使えば解決というのは本当だろうか?と疑ってしまいます。
何よりも怖いのは、音楽を知らない人が「これを使えば百人力」と信じてしまうこと、指が速く動けばピアノのテクニックの問題は解決すると思い込んでしまうことです。
指が速く動くかどうかって、全てのピアノのテクニックの中ではほんの一角ですよね?優秀なピアニストは指が速く動くというのは間違いのない話ですが、指が速く動くピアニスト全てが優秀とは限らない。そもそも音楽のニュアンスをつけるテクニックは、指を動かすテクニックとは別のものです。優秀なピアニストはその両方を持ち合わせています。
そもそも、音楽は解釈がものをいう世界。テクニックがあるのは大前提ではありますが、そのテクニックをどう利用するかがピアニストの力量というわけです。これはプロ、アマを問わずに必要な力です。指が速く動いたからといって音が転ばなくなるわけではありません。細かい音を均等に弾くテクニックは指を速く動かすものとはちょっと違います。そして、音を聴き分ける力がなければ本当の意味での上達は見込めませんし、音のニュアンスをコントロールする力は、指が速く動かなくても身につけられるものです。
でも、このロボットで上達スピードが上がる人も一部にはいるはずとは思います。大切なのは使い方を間違えないことですね。そして万人が使えるものではないと理解して、試してみて無理と思ったら使うのを止める勇気も必要なのではないでしょうか?