1ヶ月ほど前に、絶対音感について思うところを書きました。

音感は大切だし、音の高さを聴き分ける耳を育てることは非常に大切です。でも、絶対音感がなくても楽器は演奏できます。いわゆる絶対音感教育はされていなくて、絶対音感も持っていないと思われる我が家の長男でも、チェロを弾きながら音程がおかしければ「これは違う」と直せます。この直せる耳が大切だと思います。

では、速度はどうでしょうか?

昔、ソルフェージュで有名な呉暁先生が、ソルフェージュの授業の時、学生にメトロノームを100に合わせて2回聞いて2回叩くということをやらせました。先生の個人レッスンの生徒さん(子供がほとんど)にもやらせるそうです。

手を叩く時にメトロノームの音が聞こえないように叩けると、速度をピッタリで叩いているということになるそうです。最初は2回聞いて2回叩くの繰り返しですが、慣れてきたら何回も叩いて速度を維持する練習をします。

結果的に私はこれを完璧にはできるようになりませんでした。そもそも最初を合わせるのが結構大変。でも、数回連続で聞こえないようにできるとスキっとする感覚があって、嫌な練習ではありませんでした。

メトロノームを使うと機械的になるという人はいますし、私も曲を最初から最後までただメトロノームに合わせて演奏することには疑問を感じます。でも、テンポを維持する感覚を養うのにメトロノームはうってつけの道具です。

ソルフェージュの授業では、100と80で練習しました。60は時報を頭で鳴らせるように覚えました。それがある程度身についたからか、メトロノームにあまり頼らずに速度記号を見て「これくらい?」とわかるようになりました。

20違うとはっきりわかるので、それぞれを覚えやすかったのはあると思います。これが10刻みだったらここまではっきり覚えられたか自信はありません。

音楽は音程だけでできているものではありません。リズムも音楽の大切な要素の一つです。そして、リズムを生き生きとさせるために大切なのは拍。そして演奏するにはその拍を一定に刻めるようなテンポ感が音楽の要となります。

ベートーヴェンの運命のリズムだけを聴いたら、運命かな?と思いますよね?イントロクイズでリズムだけ出してもわかる曲はたくさんあります。

そういえば、ヴァイオリニストの友人が「弓を見ているだけで何の曲か当てるゲーム」を一人でしていると聞いて、これもある種リズムクイズですよね。弦楽器の弓は一音で返すとは限らないので弓の動きがリズムそのままは表していないものの、弓の動きでわかるリズムというのもあるので。

皆さんも、絶対速度感をつけることに挑戦してみませんか?メトロノームを使ってほんの少しやって、できるようになるだけでグッと変わること間違いなしです。